持続可能な農業の秘密兵器、緑肥作物とクリーニングクロップについてお話しします。
土壌改善に役立つクリーニングクロップとは?その魅力とどんな植物があって、どんな効果をもたらすのか見ていきましょう。
緑肥作物とは?
緑肥作物とは、土壌を豊かにするために収穫せずにそのまま土に砕いて混ぜ込む(すき込む)作物のことです。
そうすることで、土壌の肥沃化を図ります。
緑肥作物は、土壌中の有機物を増やしまた、微生物の活動を促進し土の構造を改善する役割を担います。
また、深根性の緑肥作物の場合は、深く侵入した根によって土壌の透水性や排水性を改善してくれます。
そんな緑肥作物を栽培したハウスや畑では、しばしば「クリーニングクロップ」という言葉が飛び交います。
初めて聞く方は「なんのこっちゃ?」と思う事でしょう。
クリーニングクロップとは、蓄積され土壌中の余分な塩類を植物が吸収することを指し、クリーニングクロップ(塩類除去)させた緑肥作物を圃場(ほじょう)から物理的に取り除くことで、土壌の塩類集積を対策することができます。
そのため、クリーニングクロップできる緑肥作物を「お掃除作物」と呼ぶ人もいます。
緑肥作物一覧
前述した通り、緑肥作物は土壌から余分な養分や塩分を吸収したり、土にすき込むことで微生物の活動を促進し土壌環境を改善する植物を指します。
効果を発揮するのは、特にイネ科やマメ科の植物ですがその他にも有効な植物があります。
マメ科の緑肥作物
クロタラリア
根粒菌により土を肥沃にし、根こぶ病の防除にも役立ちます。
セスバニア
根粒菌が付き、土を肥沃にする効果があります。
ヘアリーベッチ
土が肥沃になり、雑草を抑制する効果があります。
クリムゾンクローバー
根粒菌が付き、空中窒素の固定をおこない土を肥沃にする効果があります。
レンゲ
根粒菌が付き、空中窒素の固定をおこない土を肥沃にする効果があります。
その他の緑肥作物
【キク科】ヒマワリ
根から出る酸により土壌の不溶性リン酸を可溶性リン酸に変えます。
【キク科】マリーゴールド
根が土壌の線虫に対して有効な物質を出し線虫の密度を制御します。
【アブラナ科】チャガラシ
辛み成分が土壌殺菌に高い効果を発揮しすき込むことで土壌の病原菌や害虫を減らします。
クリーニングクロップする植物の種類
クリーニングクロップは土壌の塩類集積を改善するための技法を指しますが、用いられるのはイネ科の植物です。
イネ科の緑肥作物
ソルゴー
土壌中の余分な肥料分を吸収し、土を柔らかくする効果があります。
エンバク
根から分泌されるアベナシンが根こぶ病の予防に効果的です。
トウモロコシ
吸肥力が強く、土壌環境を均衡に保ちます。
まとめ
緑肥作物とクリーニングクロップは、植物の特性を熟知した自然と共生するための先人たちの知恵です。
限られた土地で、自給自足をする上で緑肥作物を活用したりクリーニングクロップを活用することで、手間やコストを削減することができます。
出来るだけ化学肥料に頼らずに、健康で豊かな土壌を維持しおいしい野菜や果物を育てる方法として、実践してみてははいかがでしょうか。
自然の力を借りて、美味しい収穫を目指しましょう。
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